Coelacanth - シーラカンスの謎

レプリカではない。本物のシーラカンスがここにいる。

3億5000万年前と変わらぬ姿で泳いでいる。

生きた化石「シーラカンス」は、1938年、南アフリカで発見されました。それも、3億5000万年前と変わらぬ姿のまま!とうの昔にすべて絶滅したと考えられていたため、学会および世界は騒然となりました。現在ではこれまでにアフリカ(南アフリカ、コモロ諸島、タンザニア)とインドネシアで見つかっています。日本ではまだ見つかっていませんが、深海の海洋環境は世界中で近しい環境にあるため、「日本にはいない」と断定するほうが難しい、とも言われています。もしかしたら、駿河湾の深い海を悠然と泳いでいるかもしれません。

シーラカンスの学名の由来。

学名を「ラティメリア・カルムナエ(Latimeria chalumnae)」といいます。実はこれ、幻の化石魚を発見した人と場所に由来しています。ラティメリアはラティマー女史の名前から、カルムナエは、トロール船の船長グーセンがシーラカンスを捕らえたポイントのカルムナ川から名付けられました。この学名の命名者は、ラティマー女史が手紙でシーラカンスについて相談したスミス博士です。

幸せを呼ぶ魚と呼ばれている。

コモロの人々はシーラカンスを「ゴンベッサ」と呼んでいます。ゴンベッサとは「食えない魚」、「使えない魚」という意味だったのですが、シーラカンスを釣り上げると、高く買ってもらえるということから「幸せを呼ぶ魚」という意味で使われるようになりました。

なぜ生き残れたのか?

シーラカンスの仲間は26に分類されています。このうち、現在も生きた状態で確認されているのは、深海に潜むラティメリアのみ。川などに住んでいたとされる他のシーラカンスはすべて絶滅しており、化石でのみ見つかっています。では、深海にとどまったシーラカンスは、どうして生き残れたのでしょうか。一説によると、3億5千万年の間、ほぼ変わることのなかった「深海の環境」によるものだと考えられています。深海生物に「生きた化石」と呼ばれる生物が多いのも、同様の理由でしょう。安定した環境下で、特異な進化が必要なかったと思われる「ラティメリア」に注目することで、シーラカンスはもとより、深海生物の謎に迫ってまいります。

特技は、逆立ち。

水深40メートルから600メートル以深の深海魚までの幅広いエリアで魚やイカなどを食べています。食生活は漂いながら近寄るものをくわえて食べるタイプです。しばしば「逆立ち」をして海底にうごめく動物たちを食べるようです。展示されているシーラカンスの胃からは、サバの仲間やイカが出てきました。

背骨がない、不思議な魚。

まるで歩くように泳ぐ、シーラカンス。陸地を歩くことができそうな、立派な胸ビレと腹ビレをもっています。このヒレには、ほかの魚では見ることのできない大きな骨と関節があるのが特徴です。そのため、魚類から両生類へ変化する過程のままの姿・特徴を継続しているのではないか?と言われています。また、背骨がないことも大きな特徴となっています。固い背骨の代わりに脊柱(ギリシャ語でシーラカンス)と呼ばれるホース状の管が頭から尾鰭までつながっていて、その中は油のような液体で満たされています。

ワシントン条約とシーラカンス。

シーラカンス・ミュージアムに展示されているのは、1979年、日本シーラカンス学術調査隊が現地と協力して捕獲した個体になります。5体あり、そのうち2体は冷凍個体で、世界でも類を見ない希少なシーラカンスとなっています。
また、シーラカンスは、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)」の第I類に指定されています。通常、シーラカンスを商業ベースで展示することは許されていません。しかし私たちが保有する個体は、正式に展示が許された珍しい個体となっています。

世界でも希少な冷凍個体をはじめ、5体のシーラカンスを展示しています。0.6mm幅でCTスキャンを行い、立体映像も再現。最新のデータを見ながら、生体の謎にせまることができます。さらにコモロでの現地調査から、シーラカンスが海中で泳ぐ姿をとらえた遊泳映像も放映しています。